おわら風の盆

9月2日、「おわら風の盆」を見に八尾へ行ってきました。300年以上前から伝わるこの祭りは、収穫前の稲が風の被害を避けるために風を鎮め、豊作を祈願する農耕儀礼として定着したそうです。哀愁を帯びた胡弓の音色に合わせて優美な舞が繰り広げられます。踊り手の男女は編み笠を目深にかぶり、顔を隠して舞います。その姿には気品があり、何とも言えない色気が漂っていました。全国にさまざまな盆踊りがありますが、顔を隠して舞うスタイルは珍しいのではないでしょうか。

八尾は「坂のまち」とも呼ばれています。井田川に面した石垣は歴史を感じさせ、また中心部にある石畳の道は「日本の道100選」にも選ばれています。夕暮れ時、灯篭の橙色が照らす石畳の坂、格子戸、白壁。風情豊かな町並みは、まさに日本の原風景そのものです。

「諏訪町」というメイン通りにゲストハウスを持っている方から招待を受け、「町流し」が始まるまで食事をいただきました。祭りの宴席です。初対面の方とも胸襟を開いての懇親の場となり、楽しいひと時を過ごすことができました。

夜も深まった9時過ぎ、ゲストハウスの前で「町流し」が始まりました。道の両脇には大勢の観光客がスマホやカメラを手に、優美な舞を見守っていました。時間が経つのも忘れ、私はその舞にすっかり魅了されました。

特に印象的だったのは、最後尾の集団に子供たちがいたことです。大人たちに囲まれながら一生懸命に舞う姿を見て、私は「風の盆は将来も大丈夫だろう」と感じました。多くの祭りが担い手不足に悩んでいますが、この「風の盆」は町の人々がそれぞれの役割を果たし、祭りを支えています。子供たちも早い段階から祭りに参加し、将来は踊り子や胡弓・三味線の演奏者として、祭りを引き継いでいくことでしょう。その姿に、伝統を守り次世代に繋げる力強さを感じました。

何度見ても、「おわら風の盆」は素晴らしいですね!