5月31日、高岡文化ホールで辻井伸行さんのコンサートが開催されました。700名収容の大ホールは満席となり、その人気ぶりがうかがえました。私も早めに申し込みをしてチケットを確保しましたが、残念ながら入手できなかった方も多かったのではないでしょうか。
高岡での開催は初めてということもあり、市長をはじめ多くの方が来場され、会場は大きな拍手に包まれていました。
突然ですが、ここで質問です。ピアノコンサートでの「良い席」とは、どこでしょうか。
一般的なコンサートであれば、ホール中央付近の席が良いといわれます。しかし、ピアノコンサートでは少し事情が違うように思います。演奏者の指の動きがよく見えるステージ向かって左側、さらにピアノよりやや高い位置の席が理想ではないでしょうか。
幸運なことに、今回私はまさにその席で鑑賞することができました。
柔らかな音色と卓越した指使い、そして情感豊かなメロディーに魅了されました。演奏されたのは、フランス音楽の印象派を代表するドビュッシー、サティ、ラヴェルの名曲の数々です。
また、ピアノの後方には大型スクリーンが設置されていました。ルノワール、ドガ、クリムトの絵画や葛飾北斎の浮世絵が映し出され、音楽の世界観をより豊かに演出していました。
音楽と美術が見事に調和した、素晴らしいコンサートだったと思います。会場にいた全員が同じ感動と時間を共有できたことを、うれしく感じました。
ただ、一つだけ心残りがありました。辻井さん自身が作曲した作品をもっと聴きたかったことです。アンコールで演奏された最後の曲だけが彼の曲だったと思いますが、視覚障害をもつ彼が風を感じながら山を歩き、その景色を眺めているかのような情景を思わせる素晴らしい作品があります。
私には、その作品が著名な作曲家たちの名曲にも引けを取らない魅力を持っているように感じられます。今回、その曲を聴けるものと期待しただけに、演奏されなかったのは少し残念でした。
我がコンサートホール「クルマの中」で、改めて辻井伸行さんの音楽に浸りたいと思います。




